今日はホケカンの仕事が休みだったのですが、子どもは保育園に預けて、自分はリフレッシュことにしました。
リフレッシュしなければならないほどフレッシュさを失っているわけではないのですが、ホケカンは学校行事等でたまにお休みになるので、チャンスがあれば映画でも観に行ってやろう、ともくろんでいたのがようやく叶った、というわけです。
いつもよりちょっと遅めに子どもを保育園に預けてから、駅前のシネコンに行き、公開映画と時間をチェックしました。
『アリエッティ』も観たかったけど時間が合わず、3Dも観たい気がするけど『海猿』は前作をフォローできていないのし、評判の高い原作もまだ読んでいないし、金髪の妻夫木くんも気になるし、深津絵里さんのモントリオール映画祭助演女優賞受賞でニュースになっていたし、『悪人』を観ることにしました。
さあ、いかにも重たそうです。
でも私や夫は、DVDレンタルするとき「笑えるやつ」とか「軽い気持ちでみれるやつ」を選ぶ傾向があるので、こういう機会じゃなければ観ない気もするし、ちょうどいいのです。
以下完全にネタばれ感想です。
(かといってあらすじは追えません、ごめんなさい)
映画が始まってからエンドロールが流れるまで、一瞬たりともダレる瞬間なく、手に汗握りながら真剣に見ました。
主役の妻夫木くんは、いつものハンサムでもさわやかさんでもなく、全くなく、長崎の漁村で祖父母の介護をしながら青春を浪費し、出会い系に本気になってしまう不器用な青年を、不幸な幼少期を過ごし、普段は大人しいのに時に激情に駆られ、挙句の果てに殺人を犯してしまう青年を、見事に演じ切っていました。
クライマックスに、ヒロインの首を絞めるシーンがあるのですが、それは話の流れから考えれば、ヒロインが犯罪の協力者ではないことを示すための、主人公の最後の愛情表現なのでしょうが、妻夫木くんの表情が怖すぎて、
「え、もしかして快楽殺人者なの? まさかのどんでん返し??」
と思わせるだけの迫力がありました。
映像的な効果を狙っているのでしょうが、要所要所で「生魚」が出てきて、エビのワタとりだったり、魚をおろすシーンだったりが画面に映ると、その瞬間、プンと生臭さを感じて、素直な私は一層ドキドキするのでした。
あからさまな「悪人」も、考えることを避けることで結果として誰かを苦しめるような「悪人」も、とにかく悪い人がたくさん出てきます。
人を殺しちゃう主人公も、その殺人者についていっちゃうヒロインも、殺された女性も、女性を山中に置き去りにした大学生も、そのとりまきも、主人公を閉塞させる(ヘルパー代をケチって孫に介護をさせている)祖母も、主人公を捨てた母親も、お姉ちゃんが寒い中帰ってくるのが分かっているのにチェーンをして彼氏といちゃついている妹も、催眠商法をしている男も、マスコミも、友達に意見のできない友達も、みんな悪くて、悪い人ばっかりで、その中に時々見え隠れする善意のには非力さを感じさせます。
たいていの人はみんな、共感性を限定使用して生きているわけですが、映画や小説は、たいていの人が目を向けない「事情」を描いて、たいていの人がその事情を聴いて共感するように作っているものなんでしょうね。
私はヒロインのその後とかいろいろ考えちゃって、胸がシワシワするんですが、ネットでいろんな人のレビューを読んでいると、観終えてある種の希望を感じた人もいるみたいですよ。
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